風邪の原因はウイルスであって細菌ではありません

【風邪の原因はウイルスであって細菌ではありません】

風邪の初期症状を訴える患者が「今日から風邪をひきました」と言ったら、その原因は細菌ではなく、ウイルスによる感染です。ウイルスは生きた細胞に容易に侵入し、感染を成立させます。これに対し、細菌が生きた細胞内に侵入することは、大変困難です。

ウイルスが細胞に感染すると、免疫のキラーT細胞が感染細胞を殺します。

風邪の発症から約4日が経過すると、気道上皮の細胞が免疫から攻撃されます。すると、その壊れた細胞と粘膜に細菌が付着・増殖しやすくなり、発症5日目頃から喀痰の培養で細菌が検出されるようになります。それはウイルス感染による風邪の後に起こる二次感染です。

肺炎患者の場合も、喀痰から検出される細菌は、初発の原因ではなく、ウイルス感染によって破壊された防御壁の隙を突いて侵入した後発の病原体です。最初に体内の細胞に侵入するのは、ウイルスなのです。

ウイルスが感染する風邪の初日に、抗生剤は無効です。ウイルスを喀痰培養することはできません。胸部レントゲン検査や胸部CTで肺炎が撮影されても、それはウイルスの陰影ではありません。